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産学連携による「電動化」の共同研究で
脱炭素社会と地域産業創生を目指す
産学連携による「電動化」の
共同研究で脱炭素社会と
地域産業創生を目指す
YURIホールディングス株式会社
キャリピタAKITA内での利用企業名:由利工業株式会社、秋田精工株式会社、横手精工株式会社
取材対象先:横手精工株式会社

1955年にTDK株式会社の協力企業として秋田県由利本荘市に創業した由利工業株式会社は、電子製造事業を拡大させて、2015年に現在のYURIホールディングス株式会社を設立。現在は、由利本荘市を拠点に秋田県内に4社、ベトナムに1社の企業グループを展開しています。
創業以来の「ものづくり」を発展させて未来をかたちづくる「期待づくり」へ。「創造によって地域社会に貢献する」という企業理念のもと、既存事業の深耕と新規分野への挑戦を、グループ一体のワンストップサービスとトータルソリューションで提供しています。
グループ企業のひとつである横手精工株式会社では、2019年より、秋田大学、秋田県立大学や県内外の企業による産学連携で、将来の事業化に向けた電動化システムの研究開発を進めています。

横手精工株式会社 秋田事業所 技術開発本部 開発部
柳谷 拓也 さん / 2019 年入社
学生時代の研究活動をいまの仕事に
私は現在、横手精工の開発部で、モビリティ電動化の発展に向けて県内の大学や企業との産学連携による研究開発を担当しています。当社では、将来的に電動化に対応するインバーター(電力変換器)設計製作の事業化を見据え、このプロジェクトに力を入れて取り組んでいます。車や飛行機などにおける脱炭素社会実現のカギとなる電動化は、SDGsにも直結していると言えるでしょう。
小さい頃から車が好きで、大学ではモーターやインバーターなど電動化について学ぶ研究室に所属していました。担当教授の紹介で、横手精工がインバーター開発を担う人材を求めていることを知り、興味を持つようになりました。
地元秋田を拠点に、昔からさまざまな挑戦を続けている企業の中で新たにスタートした電動化では、これまで学んできた専門知識を活かせるだろうと思いました。
また、会社見学で訪れた際に「自分がこの会社で働く姿」をすんなりイメージできたのも、入社の決め手になりました。

専門性を活かし、電動化プロジェクトをけん引

私自身は、納期が決まったものづくりに従事するというよりも、新しいこと=電動化に挑戦する活動が中心となっていて、大学の教授や関連企業の担当者との共同研究、学習、情報・データ収集や実験などが主な業務です。
会社からのサポートで、研修やセミナーなどに参加したり、活動発表やプレゼンテーションしたりする機会を得て、社内外の方たちと関わりを持ちながら日々の研究開発に励んでいます。
開発部には、電気や設計のフィールドで活躍する先輩たちがたくさんいますが、電動化は、当社で取り組み始めたばかりの新しい分野。そのため、インバーターやモーターについて研究してきた若手社員の私が、このプロジェクトの中心的な役割を任されています。専門性が高くなると、自分の知識や発言が所属部署や会社としての決定に繋がる場面も多くなります。大きな責任を伴うので、できるだけさまざまな方に相談して意見を伺いながら、つねに慎重に考え、判断するよう心がけています。

電動化という夢の実現と地域への貢献

仕事のやりがいを実感できるのは、自身が成長したと思える時。最近では、開発中のモーターを動かす大きな実験がありました。私一人では難しい案件でしたが、周りの方たちの協力のおかげで、無事にやり遂げることができました。人の温かさに触れることで自信がつき、乗り切った先にある希望が見えてきました。
私には、「いつか自分の手で車のエンジンをモーターに切り替え、電動化させたい」という夢があり、これが原動力となっています。基本的な内容を理解して、応用しなければならない研究開発も、いずれは自分のためになると思えるから、前向きな気持ちで取り組めます。また、今ここでさまざまな経験を積ませてもらいながら得た成果は、きちんとアウトプットして会社と社会に還元していきたいと考えています。
当社の電動化はまだスタートアップの段階ですが、秋田の未来のために、本格的に事業化できるように努めていきたいです。人口減少や若者の流出が課題となる秋田県で、特に大事なのは雇用ですから。可能性ある事業をしっかりと発展させることで地域経済を活性化させ、若い人たちが秋田という土地に魅力をもって定着してもらえるよう貢献できたら嬉しいです。

横手精工株式会社 秋田事業所 技術開発本部 開発部
統括課長 堀内 和弘 さん
電動化の未来を担うキーマン的存在
産学連携の共同研究で将来的な事業化を目指し立ち上げた当社開発部の電動化チームでは、大学で専門的に学んできた柳谷さんがキーマンとして活躍してくれています。この分野に最も詳しい彼が中心に立ち、同じ部署の先輩たちが技術や精神面など要所をサポートするかたちで、現在の研究開発を進めています。
若いですし、本当ならこんなに大きなプレッシャーをかけてはいけないのかもしれませんが、彼自身の性格もあって、この仕事をポジティブに捉えてくれているようです。大学の先生たちと連携をとりながら、難しい課題にも前向きに取り組んでいる姿に感謝しています。
地球の一員として考える、よりよい社会
SDGsで発展する秋田の可能性
秋田銀行より

インタビュアー
秋田銀行地域価値共創部 髙橋 希久美
社員の柳谷さんへのインタビューでは、未来へ向けたプロジェクトに携わっていることへの誇りや、仕事を通じて自己成長が実感できることへのやりがいがよく伝わってきました。須田社長の「社会に貢献するためには、まずは社内の期待づくりが重要。」という言葉通り、柳谷さんは、「さまざまなことに挑戦している会社。現在携わっているプロジェクトを積極的に事業化してほしい。」と会社に大きな期待を寄せています。教育機会の充実や風通しの良い職場環境も、社員が会社に誇りを持ち前向きに働ける要因なのではないかと感じました。
「私たちは地球の一員。これからは視野を広く持ち、世界や社会との繋がりを意識していかなければならない。」と強調する須田社長のお話からは、モノづくりをする企業としての決意や責任感が強く感じられました。「地域に根付く企業でありながらも、今後の可能性を見据えて世界を意識していく。私たちの事業と地球のありたい姿を繋げながらSDGsにも貢献していきたい。」と話す須田社長の言葉に、私自身も大きな期待を抱いた取材でした。

(取材対象先:横手精工株式会社)
新道下2-659(由利工業㈱内)
(電子部品製造、機械加工/装置製造、
基板実装/EMS、精密洗浄、二次電池
受託試験、設計サービス、試薬製造)